道

行ってきますを伝えたら、
玄関の引き戸をガラガラと閉めて、
庭に植わった植物を眺め、
外階段を走りおりて、
駐車場への200メートルを
空を見ながら早歩き。
付いてくる小さな人たちはいない。
12年前まで毎日繰り返した行動を、
実家からの出勤で久しぶりに体験すると、
なにも変わっていないようで、
12年を一瞬飛ばしたような、
不思議な気分になった。
過去のどこにも、戻りたいと思う場所はない。
振り向けば私の歩いた道だけ見えて、
分岐点があったのかさえわからない。
ところどころが暗闇で、
見たくない道があるのなら、
今いる場所で変えればいい、
過去は今から変えることができるのだ、と、
漠然と心にあった思いを、
はっきり言葉で聞かされて、
また前に進む勇気になる。
幸せになるために、幸せな道を進みながら、
私は、今ここ、に足をつけて立っているのか。
ちゃんと踏みしめて歩いているのか。
確かめながら、もう一度少し後ろを振り返ってみる。
歩いてきた道がある。
戻りたい場所はどこにもない。
これから歩く道も、間違いなんてない。
ただ自分で選んだ道を、歩く。
幸せに向かう道だと、信じている。
いつだってそんなふうに。
最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
よかったら応援のクリックをポチッとお願いします!