【HSCの基礎知識】

日本での歴史が浅く、まだ認知度の低いHSC

HSC(Highly Sensitive Child)とは、生まれつき『とても敏感な“子ども”』のことで、『とても敏感な“人”』のことはHSP(Highly Sensitive Person)といい、いずれもアメリカの心理学者、エレイン・N・アーロン博士によって提唱された概念です。

日本では、2000年に『ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。』(富田香里訳/講談社)というタイトルで翻訳出版(現在、SB文庫より刊行)されて以来、HSPという言葉は、徐々に知られるようになりましたが、HSCという言葉はそれより遅く、日本語に翻訳されたのは、『ひといちばい敏感な子』(明橋大二訳/1万年堂出版)として日本で出版されたのが2015年と、まだ年数も浅いので認知度も低いようです。

HSCの特徴

とても敏感で、繊細さや感受性の強さ・豊かさを生まれ持つ気質の子のことを、HSC(Highly Sensitive Child)と言います。HSCは一般的に、集団に合わせることよりも、自分のペースで思索・行動することを好み、独自性が阻まれることを嫌がるほどの「強い個性」を持っています。またHSCは「内気」「引っ込み思案」とか「心配性」とか「臆病」などとネガティブな性格として捉えられがちですが、そのような性格は、持って生まれた遺伝的なものではなく、後天的なものであり、それは過去におけるストレスやトラウマ体験が影響しているものと考えられています。

5人に1人は、HSCに該当すると言われ、またHSC自体は病気や障がいではなく、とても敏感で感受性が強く、かつ繊細さを持った気質なのです。ですからHSCは「治す」ものではありません。その様な子供の気質(性質)を「自分らしさ」ととらえて、伸ばしていくことがHSCの子育てだといわれています。

年齢を追うごとに悩みが大きくなるHSC

HSCは、赤ちゃんの頃から育てにくさを感じることが多いといいます。そして保育園や幼稚園に通うようになると、「何か他の子と違う」と心配に思うことが増え、更には周囲の人達から、普通とは違うのでは?というような点を指摘されたりすると、親の悩みは益々深くなっていきます。更に小学校へ通うようになると、クラスになじめなかったり、発達障がいでは?といわれたり、不登校気味になる子もあります。とても子育てが難しい・・・。いったいこれから、どうしていけばいいか分からないという親御さんはとても多いのではないかと思われます。

HSCとはどういう子供のこと?その割合は?

HSCとは「人一倍敏感」という特性・気質です。(敏感すぎる ではありません。)生まれつき、よく気がついて深く考えてから行動するし、体の内外のことに敏感です。
よく気づく得意分野は、人それぞれです(雰囲気や表情、におい、ユーモア、動物とのコミュニケーション等)
悲しみや喜びを、他の子よりも強く感じることが自然に出来、また感受性が強く、共感力もあり、とても豊かな想像力がある子どもたちのことです。
子ども全体の15~20%が「生まれつき敏感なHSC」という気質を持ていると言われています。(学校でいえば、40人学級では6~8人程度いる計算になります)

HSPは「治す」のではなく「自分らしさ」を伸ばして上げることが大切

HSC(人いちばい敏感な子)の4つの性質

アーロン博士は、「4つのうち1つでも当てはまらないなら、おそらく『人一倍敏感』な性質ではないと思います」と述べています。

エレイン・N・アーロン著、明橋大二訳『ひといちばい敏感な子』(一万年堂出版、2015年)参照

性質1:深く処理する(情報処理のプロセスが深い)

HSCの子は、ものごとの本質的な部分が自然とわかる鋭い洞察力に優れています。HSCの子は年齢の割に難しい言葉を使って大人びたことを言ったり、大人の嘘にどこかで気づきながら、空気を読んで何も言わない、ということもあるようです。また、処理が深くなる分、様々な可能性を考えて慎重になるため、決断したり選択することに時間がかかります。その特徴として見られるのが、
•ものごとの本質を衝くような鋭い質問をする
•大人の会話を聞いていて、年齢のわりに大人びたことを言う
•ユーモアのセンスがある
•様々な可能性を考えて慎重になるので、決断・行動まで時間が掛かる。

判断に迷ったり時間がかかってしまうところは、他者からは「臆病」「引っ込み思案」「優柔不断」のように思われがちですが、それは自分の中で深く処理をしているために起きているわけです。情報を深く処理するプロセスをもっているという生まれもっての性質が原因で、そうなってしまうのです。

性質2:過剰に刺激を受けやすい(刺激に圧倒されて疲れやすい)

同じ場所にいてもその感受性の高さから、人より「たくさんの情報」を拾ってしまうため、強い刺激にさらされるようなことがあると、普通の子ども以上に「休息」を必要とします。たとえ同じ刺激を受けても、そこにいる他のメンバーが受け取っていない多くの情報をHSCの子は拾っているため、本人にとっては負担が大きく疲れやすいようです。たとえば、楽しませてあげたいと思ってイベントをやったり、どこかに出かけたりしても、ぐったりして元気がなくなってしまったり、「もう帰りたい」と言い出すのは、HSCのひとつの特徴です。楽しくないのではなく、刺激を受けすぎてそれに圧倒され、疲れてしまうのです。
例えば以下のような特徴も見られます。
•興奮することがあった日の夜には、いつまでも寝られない
•痛みに弱い
•暑さや寒さ、手足についた汚れ、濡れた衣服などが気になってしようがない
•サプライズが苦手
•人に見られたり試されたりする場面で、普段の力を発揮することができない

性質3:感情の反応が強く、共感力が高い

HSCは、ものごとに対してだけでなく、周囲の人の感情に敏感です。よく泣くのも、びっくりしやすいのも、怖がりなのも、癇癪を起こしたりするのも、感情的な振幅が人一倍大きいからです。その敏感さは他者に対しても発揮されます。自分と関係がなくても、誰かが怒っているシーンを見るのは耐えられないほど辛いものとなってしまうようです。また相手がどう感じているのかを敏感に察するため、兄弟間や友達との関係の中でも相手の意向に自分を合わせてしまったりすることが多かったりします。人の様子を観察して、何を求めているのかを察することもできる子供が多いのです。こういうことによく気づくのはとてもいい点ですが、一方で、悲しみや不安などの感情も強く受け取ってしまいます。

また、親や先生に注意されたり叱られることに対しても常に不安を感じています。(自分が強く叱られたという経験は、ほとんどないにも関わらず)人の気持ちがわかるという性質は、スムースな人間関係を作りやすいというメリットにもなり得ますが、他の人のネガティブな感情に翻弄されてしまうしんどさも同時に持ち合わせているのです。

性質4:感覚が鋭く、ささいな刺激を察知する

五感が鋭く、他の子が気にならないようなかすかな匂いや音視覚でも絵や模様などの細かなディテールまでをキャッチしています。
食品に含まれる添加物などの微妙な風味を感じとって嫌がったり、着ているものの窮屈さやタグなどのチクチク、濡れたものや砂がついた気持ち悪さに我慢ができないなどの特徴が、多くのお子さんに見られます。些細な刺激に気づきやすいということ。小さな物音、かすかなにおい、ほんのわずかな味の違い、人やものの些細な変化……普通の人なら気づかないようなちょっとしたこと、「たいしたことではない」と見過ごしてしまうようなことが、HSCはとても気になってしまうのです。食べ物の中に入っている化学物質に反応してしまったり、薬にも敏感で、処方箋に書かれているとおり服用すると効きすぎてしまったりするのも、HSCならではの特徴です。

 

我が子がHSCかどうか知る為の23のチェックリスト

子どもについて、どちらかといえば当てはまる場合、あるいは、過去に多く当てはまっていた場合には、「はい」。全く当てはまらないか、ほぼ当てはまらない場合には、「いいえ」と答えてください。

  • すぐにびっくりする
  • 服の布地がチクチクしたり、靴下の縫い目や服のラベルが肌に当たったりするのを嫌がる
  • 驚かされるのが苦手である
  • しつけは、強い罰よりも、優しい注意のほうが効果がある
  • 親の心を読む
  • 年齢の割りに難しい言葉を使う
  • いつもと違うにおいに気づく
  • ユーモアのセンスがある
  • 直感力に優れている
  • 興奮したあとはなかなか寝つけない
  • 大きな変化にうまく適応できない
  • たくさんのことを質問する
  • 服がぬれたり、砂がついたりすると、着替えたがる
  • 完璧主義である
  • 誰かがつらい思いをしていることに気づく
  • 静かに遊ぶのを好む
  • 考えさせられる深い質問をする
  • 痛みに敏感である
  • うるさい場所を嫌がる
  • 細かいこと(物の移動、人の外見の変化など)に気づく
  • 石橋をたたいて渡る
  • 人前で発表するときには、知っている人だけのほうがうまくいく
  • 物事を深く考える

13個以上に「はい」なら、お子さんはおそらくHSCでしょう。
しかし、心理テストよりも、子どもを観察する親の感覚のほうが正確です。
たとえ「はい」が1つか2つでも、その度合いが極端に強ければ、お子さんはHSCの可能性があります。
※『HSCの子育てハッピーアドバイス』 1万年堂出版より

HSCは大人になるとHSPになるのでしょうか。

Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)HSPとは、生まれつき「非常に感受性が強く敏感な気質・繊細な気質」をもった人のこと。

Highly Sensitive、つまり「とても敏感」というのは “気質”のことです。 “気質”というのは、生まれついての気持ちのあり方。性質のことです。後天的にその多くがつくられていく「性格」とは違って、生まれ持った“気質”=Highly Sensitive(高い敏感性)は、本質的には大人になっても、変わることはないといわれています。

気質で人生は決まってしまうのか。

しかし人間の性格は、全てが気質で左右されるわけではありません。文化、環境、経験などなど、長い人生の経過と共に受ける様々な刺激によって、人の性格の一部はいろいろと変化し形成されていくのです。そのような文化的・社会的要因によって決定された傾向のことを【後天的性質】と言うそうです。性格とは、その人物のベースとなりうる先天的気質(性質)と、外界的刺激によって構成される後天的性質の混合によって形成され個人の感情・行動の傾向を表すのです。
その性格は変わっていきます。更には思考や心理を含めた、より深く広い範囲を表す「人格」という言葉もあります。
HSC、HSPという自分の特性(気質)に気づき、それを前向きに認めてあげることで(気質は変わらなくても)人として豊かに生きることに関しては全く問題ないのです。

「生きづらさ」や「自己否定感」を抱えやすいHSC

子どもにはそれぞれ個性があり、得手・不得手があります。HSCの子供は、細かいことに気がつき、過剰に刺激や情報を受け止めるため、疲れやすく、慎重で状況をよく観察してから行動します。自分のペースで思索・行動することを好み、評価されたり、押しつけられたりすることを嫌います。また、人の集まる場所や騒がしいところが苦手で、新しいことや初対面の人と関わることを躊躇したり、慣れた環境や状況が変わるのを嫌がったりする傾向が見られます。

このようなHSCの気質、「小さなことでも敏感に反応する自分」「なかなか決断ができない、時間がかかる自分」を、(その子供たちが)身近な大切な人から肯定的に受け止めてもらえるか否かで、自分の気質をポジティブ、あるいは、ネガティブに捉えられるかどうかの分岐点になることもあります。HSCの場合は、親や周囲の大人たちがその子の気質の特性を知って、気質に合わせた育て方を行っていくか否か、さらには、その子とともに、気質に合った生き方を考えてあげることは、その子にとっての、その後の「生きやすさ」、「生きづらさ」にまで影響を及ぼしていくものと考えられるます。大人たちの良かれと思った考えで気づかないうちに、子どもの気質を否定してしまったり、心に傷を負わせてしまったりすることで、「自己否定感」や「トラウマ」を抱えた多くのHSCに影響が出ていることもあることは重々気をつけたいところです。

HSCが自己肯定感を持ちにくいのには4つの理由があります。
「しつけの影響をうけやすい」「自分に厳しい」「手のかからないいい子になりやすい」「集団生活が苦手」などです。

幸せな人生の土台は「自己肯定感」なのです

「自分は生きている価値がある」という気持ちが自己肯定感。
自分のいいところも悪いところもすべてひっくるめて愛されることによって育つのが「自己肯定感」なのです。
子供たちの自己肯定感を育むためにはどうすればいいのでしょうか。
HSCはちょっとした否定の言葉を強く受け取り、しつけの影響を受けやすいので、自己肯定感という土台を作る前にルールで縛らないことが大切です。いい子でもそうでなくてもOKだよと。「〜せねばならない」「であるべき」ではなくて、お子さんの「〜したい」を伸ばしてあることが大切になるのです・

自己肯定感を育む大切な10のこと

1.子供を信じる
2.抱きしめる
3.共感する
4.気持ちを言葉にして返す
5.ネガティブな感情を吐き出させる
6.小さな成功体験をもたせる
7.心の安全地帯(逃げ道)を作っておく
8.その子のペースを尊重する
9.少し背中を押してみる
10.他人と比べず、自分のゴールを目指そうと伝える

♠ 境界線について

境界線が薄いと、自己抑制が強くなるために、人の影響を受け易くなってしまいます。だからこそ親であるわたしたちが 「この子はこの子でいいんだ」 と、境界線を引くと子どもたちは、伸び伸びと成長します。

自分と他人は違う人間である、と強く認識すること
・承認欲求(嫌われたくない)がある為に過剰同調性になってしまう
・頼み事を断ったり意見を主張することが大切「課題の分離」という。
(その結果、多少気まずくなっても相手の問題と自分の問題は別である)
・考え方が異なる相手の心の中に土足で踏み込んではいけない。逆も)
適度な距離感を持って相手を認めて、許すことで境界線が強くなる

 

HSC・HSPは、自分の気質に合った環境の中で花開く

私は、本来HSC・HSPの子や人たちは、自分のペースで「自発的」に「主体性」をもって自分らしく生きることに生きがいを感じる子や人たちであり、そして、本来HSC・HSPの気質は、人からコントロールされたり、やらされたり、押しつけられたりするなど、その子・人の独自性が阻まれることを強烈に嫌がるほどの「強い個性」であると捉えています。それは別の視点から見ると、天から与えられた資質(天賦)を完全な姿へと発展させようとする力が強いということでもあるのですが、生まれ持った独自の気質が、その子の個性として花開くかどうかは、その子の生育環境の影響が特に大きいと考えるのです。